四まいのベース / 野球研究所(日本ハムファン)

内野6人外野3人で守るわけとは?

② 変則シフト「外野2人守備」が安心して敷ける理由 /  外野2人守備はリスクの重いシフトではない!?

「新外野2人守備」の基本守備隊形

「新外野2人守備」の基本守備隊形

 

 前回に引き続き、「外野2人守備」安心理論をお伝えします。今回は外野2人守備はイメージ程、リスクの重いシフトではないことをお伝えします。

 尚、この安心理論は5回に渡り連載しています。

【「外野2人守備」安心理論】
① まず「6人:3人守備」から知ろう!
② 「外野2人守備」はリスクの重いシフトではない!? 
 ③ 「旧外野2人守備」と「新外野2人守備」とのポジショニングの違い
④ "ひっぱり方向"の外野に選手を配置しなくても大丈夫! 
⑤ "ランニングホームラン"は野球をおもしろくする! 

 思いがけなく今回のブログから入ってこられた読者の皆さんには、唐突感を抱き、内容がよくわからないかと思います。できることならば前回の①まず「6人:3人守備」から知ろう! から入ることをお勧めします。

②「外野2人守備」安心理論 / 外野2人守備はリスクの重いシフトではない!?

 さて「6人:3人守備」とは筆者がつくった造語ですが、内野は6人外野を3人で配分する基本守備隊形を指します。が、こうして造語をつくる作業を行なわないほど、基本守備隊形にも拘わらずその存在自体が希薄でした。その理由の一つは「5人:4人守備」、「7人:2人守備」等の多配分で守備する機会がほぼなく、それゆえに母体である6人:3人守備についても考える機会がほとんどなかった点かと筆者は考えます。一場面ぐらい外野を3人ではなく、2人の方が明らかに合理的な場面が訪れていたならば、野球もまた違った展開を迎えたのかもしれません。

サッカーではゴールキーパーまで攻撃参加する場面がある!

 さて、その外野を2人で守るシフト、もとい「外野2人守備」がこれまで敷くことができなかった理由は後述しました。ただし一方で、イメージするほどリスクが高いシフトでもありません。

 2018年ロシアワールドカップ、ドイツ×韓国においてのことです。あのドイツ代表名ゴールキーパーノイアーが、リスクを顧みずハーフウェイライン辺りまで攻撃参加する場面がありました。ドイツは負ければ最後、予選敗退が決まります。そのノイアーが韓国選手にボールを奪われ、最後はソン・フンミンにゴールに流し込まれました。ご存知のようにサッカーでは、守備の専門ディフェンダーですら攻撃参加する場合があります。時にはゴールキーパーですら危険を顧みず、守るゴールを離れるプレーを厭いません。しかも、サッカーの1点は勝敗に関わる比重が重く、1-0で終わる試合など間々あるケースです。

サッカーではゴールキーパーは1人しかいませんが、野球の外野手は3人もいます。

ランニングホームランは怖くない!

 さて、広い外野を2人で守る「外野2人守備」では真っ先に、一シーズンにあるかないか、あのめったにお目にかかれないランニングホームランがまず脳裏に浮かびます。ふわっと上がった平凡なセンターフライ、が、センターがおらず打球は外野フェンスまで到達。走者はもちろんのこと、打者走者(=打者)までもホームイン。スコアボードのアウトの所に赤色のランプが灯るところ、1という数字が刻まれるかもしれません。その一連のプレーを阻止したいがために、これまで外野2人守備が敷くことを敬遠してきた理由の一つでしょう。

とはいえ、とはいえです。

 そのリスクを過度に恐れるあまり、外野手の人数を減らすことができなかった、という訳でも必ずしもないでしょう。

野球では「外野2人守備」よりも重いリスクを負う策もあります。

 申告敬遠(ルール)はメジャーリーグでは2017年より実施、日本のプロ野球では2018年に導入しました。守備側の監督が敬遠の旨を主審に伝えたならば、投手は4球ボールを投げなくてもよく、一塁に歩かすことができる規則です。ルールでもこのように記載があるほどです。打者を一塁に歩かす敬遠は誰もが認める策です。3番打者を歩かせ4番で勝負、翌朝のスポーツ新聞は「4番意地の一打」なんて一面を飾ることもしばしば。

 ただし、強打者との勝負を回避できるメリットばかりに関心が集まるためか、物理的に最もリスクを負わなければならない事象は認識が希薄のようです。

 たとえば、三塁ベースに走者がいる場面において打者を歩かせたとしましょう。つまり、塁上には2人の走者が出塁している状況ですが、そこで、打力が弱いと思われていた打者にフェンスを越えるホームランを放ったれました。

失点は3です。

 更に同じ場面において、打者、また次の打者を歩かせ走者で埋めたとします。要するに満塁策です。同じくその打者にホームランを放ったとします。

失点は4です。

そこで、です。野球のワンプレーにおいて、最大入る得点は何点でしょうか?

つまり、最大4失点のリスクを負う満塁策はあらゆる策の中で、最もリスクを取る策です。だが、この策ですら野球界では認められた戦法の一つです。

「外野2人守備」は最大でも2失点

 一方の「外野2人守備」のリスクはどうでしょうか。三塁ベースに走者がいる場面において外野2人守備を敷いたとします。同じく打力が弱いと思われていた打者に2人の外野手の間を抜ける打球を放たれました。走者はもちろんのこと打者走者(=打者)までホームイン、つまり最悪の結果に終わりました。これまではその最悪を回避したいから外野2人守備を敷けなかったかと考えられますが、

が失点は2で済みます。2点以上は入ることはありません。

「満塁策」と「外野2人守備」のリスク対比

「満塁策」と「外野2人守備」のリスク対比

 

 このように敬遠策、及び満塁策とリスク対比すると、必ずしも外野2人守備は過度なリスクを負う守備隊形ではありません。よしんば、裏目に出て最悪の結果に終わろうとも、試合に勝つチャンスは残されています。

2点差はワンチャンスです。

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『内野6人外野3人で守るわけ』

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世界発!野球の新守備「新外野2人守備」も誕生

これまで誰も見たことがないシフトも掲載!

次回に続く