四まいのベース / 野球研究所(日本ハムファン)

内野6人外野3人で守るわけとは?

④変則シフト「外野2人守備」が安心して敷ける理由  / "ひっぱり方向"の外野に選手を配置しなくても大丈夫!

「新外野2人守備」の基本守備隊形

「新外野2人守備」の基本守備隊形

 

 前回に引き続き、「外野2人守備」安心理論をお伝えします。今回は"ひっぱり方向"の外野に選手を配置しなくても大丈夫!その安心理論をお伝えします

 尚、繰り返しになりますがこの安心理論は5回に渡り連載しています。思いがけなく今回のブログから入ってこられた読者の皆さんには、唐突感を抱き、内容がよくわからないかと思います。下記に【「外野2人守備」安心理論】の一覧表を示しました。できることならば①まず「6人:3人守備」から知ろう! 、から入ることをお勧めします。

【「外野2人守備」安心理論】
① まず「6人:3人守備」から知ろう!
② 「外野2人守備」はリスクの重いシフトではない!? 
 ③ 「旧外野2人守備」と「新外野2人守備」とのポジショニングの違い
④ "ひっぱり方向"の外野に選手を配置しなくても大丈夫! 
⑤ "ランニングホームラン"は野球をおもしろくする! 

④「外野2人守備」安心理論 /"ひっぱり方向"の外野に選手を配置しなくても大丈夫!

 さて、前回紹介した「旧外野2人守備」において2人の外野手は、左中間のやや後方、右中間のやや後方に各々ポジションを取ります。前回も紹介しましたが、下記のURLはその「旧外野2人守備」(=「内野5人シフト」)を敷いた場面の映像です。

https://www.youtube.com/watch?v=_0wm9-rIbdQ

「旧外野2人守備」

「旧外野2人守備」

 が筆者が提唱する新外野2人守備ではこの配置は取りません。一つはレフトに外野手を配置しない守備隊形(=レフト無配置シフト)、一つは前回も軽く触れましたがライトに外野手を配置しない守備隊形(=ライト無配置シフト)を敷きます。他の2人の外野手は原則的に通常のポジションを取ります。

「レフト無配置シフト」

「レフト無配置シフト」

「ライト無配置シフト」

「ライト無配置シフト」

この守備隊形を可能にした背景には、「野球の物理的法則」が存在します。

 野球の物理的法則とは筆者の造語ですが、たとえばこのブログでは、「野球のワンプレーにおいて最大入る得点は4点である」、と示しました。今回の命題から一例を挙げるとするならば、全野手を内野に集中する「9人:0人守備」から、バッテリーのみ内野に残す「2人:7人守備」まで「選手配分は計8通り配置が可能」であることです。このような必然性を帯びた性質を指します。そこで、筆者が新外野2人守備を発案する当たり、バックボーンとした物理的法則とは、

「打撃力が弱い打者ほどひっぱり方向に打球がいく率が低くい(傾向にある)」

であります。

 まず、説明に際しどの方向でも打てるスプレーヒッターはここでは除きます(ただ、この打者の存在がこの物理的法則にオブラートを覆う役割を果たしてきたものと考えられます)。

 今シーズン、おしくもタイトルには届かなかったバッファローズの主砲、吉田正尚選手。その打席時にファイターズの栗山監督はよく変則シフトを敷きました。一二塁間を抜ける打球をカバーするために、主に三塁手をレフトのすぐ前に配置転換を図る「外野4人守備」です。下記のURLはその場面の映像です。https://www.youtube.com/watch?v=n7u6j5MGD2c

レフト前に配置する「外野4人守備」

レフト前に配置する「外野4人守備」

 このようにせっかく網を張った一二塁間を抜けるエリアに打球がきたにも拘わらず、深く守り過ぎたためにセーフになった、こんなご愛敬もありました。古くは王選手の打席時に敷く王シフトが有名ですが、吉田選手の打撃傾向には、ひっぱりの方向に打球がいく高いデータが現れているのでしょう。

「弱打者」の打撃傾向

 このように強打者に対してはひっぱりの方向に対して選手を割くシフトを敷きますが、振り子が左方向で最大値に達するならば、反対方向にも当然最大値に達します

 吉田選手は「強打者」のモデルですが、一方で必ず「弱打者」も存在しますがこの選手の存在がこれまでの盲点であり、その証左に、モデルを示したくても誰もがそれと判る適当な選手が見当たりません。

しかたありません。プロの技術に遠く及ばない私ですが、実験台となりましょう。

 もし仮に、私がプロの投手が投げる打席に立つとします。現にあるアナウンサーが打席に立ったそうですが、ホークボールがまるで消える魔球のように見えたそうです。まず、現段階の私の技術ではバットにかすりもしません。そこで、プロの手ほどきを受け、猛練習を課し、その甲斐もあってバットにボールが当たるレベルまで達したとします。

さて、その記念すべき一撃はどちらの方向に向かったでしょうか。

 バットの上っ面に当たりバックネット直撃か、良くても、一塁側のファールスタンドに飛び込む打球(私は右打者です)になることでしょう。

ようするに、腰を入れ、球威にも負けずショート、サード方向に“ひっぱる”には、もう一段のレベルアップが必要です。いわゆる手打ならば何とかできたとしても、ひっぱりは高い技術が求められます

 実はその該当する「弱打者」がプロの世界に存在していました。東京スポーツの記事によると、通算成績は709打数61安打、23打点、打率0.086。

その選手は1割にも達しておりません。

 2003年シーズンでは、開幕から54打席無安打の珍記録を打ち立て、終わってみれば61打数1安打、36三振、打率0.016というひどい数字の年もあったのことです。野球の物理的法則に従うのならば、この弱打者の打撃傾向はひっぱり方向(特に外野)には打球がほとんどいかないデータが現れていることになります。

案の定の結果でした。

 私の手元調べですが、その弱打者は右打者ですが、324打席における打撃傾向は、三振も含む内野に収まる率が約92%、一方外野に打球がいく率は約8%。ひっぱってレフトにいく率は約1%。324打席中たった2本しかありませんでした

その弱打者(右打者)の打撃傾向

その弱打者(右打者)の打撃傾向

 

 ただし、その弱打者はひっぱり方向に打球がいく率が低いといっても、バントでショート、サード方向に転がすことはできます。私が調べた限りではその選手はバントは巧みそうで、送りバントの成功率も決して低くはありませんでした。ショート、サードにはj常時、内野手を配置しなければいけませんが、

が外野エリアに「3人の守備者」が常に、常に、常に、

必要かといえば甚だ疑問であります

 結局、このような考察を経て、レフトに外野手を配置しない「レフト無配置シフト」等が誕生しました。因みにその弱打者は野球ファンならば誰もが知っている“名選手”です。

 強打者、吉田選手の打席時において極端なひっぱり方向に守備者を偏らせるシフトを敷くのであれば、逆も真なり、と言えましょう。

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『内野6人外野3人で守るわけ』

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世界発!野球の新守備「新外野2人守備」も誕生

これまで誰も見たことがないシフトも掲載!

次回に続く