前回 に引き続き、「外野2人守備」安心理論をお伝えします。今回は2人の外野手のポジショニングについてお話します。
尚、この安心理論は5回に渡り連載しています。思いがけなく今回のブログから入ってこられた読者の皆さんには、唐突感を抱き、内容がよくわからないかと思います。下記に【「外野2人守備」安心理論】の一覧表を示しました。できることならば①まず「6人:3人守備」から知ろう!、から入ることをお勧めします。
【「外野2人守備」安心理論】 |
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① まず「6人:3人守備」から知ろう! |
② 「外野2人守備」はリスクの重いシフトではない!? |
③ 「旧外野2人守備」と「新外野2人守備」とのポジショニングの違い |
④ "ひっぱり方向"の外野に選手を配置しなくても大丈夫! |
⑤ "ランニングホームラン"は野球をおもしろくする! |
③ 「外野2人守備」安心理論/「旧外野2人守備」と「新外野2人守備」とのポジショニングの違い
さて、前回までは「外野2人守備」を敷く機会はなかった前提で話を進めてきました。が、球界では市民権を得らえていないだろうと思われますが、過去にはそのシフトを敷く場面がありました。
2014年7月11日、巨人VS阪神戦。6回表、巨人の守備、先発の大竹寛が阪神に2点を勝ち越され、尚も1死二・三塁のピンチを迎えました。そこで、巨人原監督はおもむろにベンチから出ると両手を高々上げナイン全員を呼び寄せました。しばらくすると、亀井義行がグラブを内野手用に持ち替えて一二塁間に、ライトの長野久義が右中間に、センターの松本哲也が左中間にそれぞれ着きました。
センターには誰一人いない「外野2人守備」
だが、残念ながら裏目に出てしまいました。左腕の青木高広が投じた6球目は、阪神西岡のおっつけ気味に出したバットに当たり、その打球はすっぽりと開いたセンターに。長野、松本の両俊足を飛ばしても追いつくことができません。思惑を嘲笑うが如くボールはセンターにバウンド、2人の走者は相次いでホームインしました。下記のURLはその場面のユーチューブの映像です。
https://www.youtube.com/watch?v=_0wm9-rIbdQ
「旧外野2人守備」の外野手の配置
このように過去には外野2人守備を敷く場面がありましたが、ところで拙著にも「外野2人守備」を提唱しています。まぎらわしいので前者を「旧外野2人守備」、後者を「新外野2人守備」と呼称しますがこの両者、どこに違いがあるか申しますと、シフトを敷くシチュエーションの違いもさることながら、2人の外野手のポジショニングが根本的に異なります。
旧外野2人守備では基本的に、2人の外野手を左中間深く、右中間深くに各々配置します。
因みにこのシフトを検索に掛けてみると「内野5人シフト」でヒットします。それもそのはず、わざわざリスクを背負うために外野を2人で守備するのではなく、内野を5人⦅バッテリーは除く⦆で守ることができるため敷くのですから。その呼称は合点のいくところです。
言い遅れましたが旧外野2人守備を敷く戦況とは、無死、あるいは一死において三塁に走者がいる場面に敷きます。このようなシチュエーションにおいて、序盤戦、または点差が離れた試合展開ならば内野手を定位置に守らす場合もありますが、たいていの場面は前進守備を敷くチームがほとんどです。が前進守備とは内野手の間を抜かれる率も高まり、リスクを負うシフトでもあります。そのため旧外野2人守備において、外野手の一枚を削り内野に回す配置で臨んだならば、その抜かれる率が低下できます。
だが当然ながら、広い外野を2人の外野手でカバーしなければなりません。
そこで2人の外野手は一般的に、左中間のやや後方、右中間のやや後方に各々ポジションを取ります。この配置ならば打者走者がホームまで還る最悪だけは免れる率が高まります。狭い東京ドームならばよしんばフェンスまで到達する打球がいったとしても、俊足の打者走者でないかぎり、ホームまで還ることは難しいのではないでしょうか。現に先ほどの場面でも西岡選手は二塁打止まりでした。仮に打球がセンターフェンスまで到達していたとしても、ホームに還ることはできなかったことでしょう。旧外野2人守備の2人の外野手の配置は、万が一外野に打球がいった場合に備えて、リスクを最小限に抑える守備隊形と言ってもいいでしょう。
しかしながら、私が発案した「新外野2人守備」ではそのような配置は取りません。
レフトをまるまる空ける配置、またはライトを同じくまるまる空ける配置を取ります。その他の2人の外野手は基本的に一般的な守備と同位置です。
なぜならば、あえて、あえて、あえてレフト(あるいはライト)を無配置にした方が〝効果〟を臨めるからです。
世界発!野球の新守備「新外野2人守備」も誕生
これまで誰も見たことがないシフトも掲載!